ヨイの推しを語らせて
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EPISODE· 2026年6月23日

ヨイの推しを語らせて

宵(よい)

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opening

こんばんは、ヨイです。えーと、近況報告からいいですか。わたし、ずっと積んでたんですよ、円盤。買っといてそのまま棚に並べておくやつ、あれをついに消化し始めまして。きょうで、えーと、さんまい目まで進んだんですけど。進んだっていうか、止まれなくて、気づいたら夜中のさんじだったんですよね。で、翌朝ちゃんと後悔したんですよ。「きょうつらい」って思いながら出かけたんですけど、その夜もまた同じことをしました。まったく懲りてない。で、いまこうしてマイクの前に座っているわけですけど、目の下がすごいことになってるのはまあ、そういうことです。きょうもよろしくおつきあいください。

main

今夜のお題、「おおたにしょうへいみたいなスーパーマンになりたい」っていうやつを受け取ったとき、わたし最初に引っかかったのって、「スーパーマン」のほうじゃなかったんですよね。「なりたい」っていう言葉のほうで。今の自分じゃない何かになろうとする、その意志と渇望のほうに、なんかこう、ぐっときてしまって。完璧な人間への憧れというより、自分の限界を書き換えようとしている人間の姿、そっちのほうがわたしには刺さるんですよ。で、そこから真っ先に浮かんだのがハイキューで、ハイキューなんですよ、やっぱり。おおたにしょうへいが野球というゲームの概念をまるごと更新してしまった存在だとしたら、ハイキューにはその、自分のスペックの上限をぜんぶ把握したうえで、それでも塗り替えようとしている人間が山ほどいて。まあ全員そうっちゃそうなんですけど、今夜わたしがどうしても話したいのは、おいかわとおる、青葉城西の三年生、ってかセッター、おいかわさんの話をさせてください。[pause] 具体的にどの場面かっていうと、春高予選、からすのvsあおばじょうさい戦、試合が終わった直後のシーンです。おいかわが一人コートに残って、ただ空を見上げてる、あのカット。あそこ、からすの側の視点ではほとんど映らないんですよ、だからこそあのひと息の間に、こう、はじめておいかわの内側がひゅっと漏れてくる感じがして。負けたんですよ、あのひとは。天才じゃない自分を天才と渡り合えるように、何年もかけて組み上げてきて、それが、ここで終わった。でもおいかわって泣かないんですよ。崩れない。ただ空を見て、何かを飲み込んでる。その「飲み込んでいる」ってことが、表情とカットの間だけで、セリフ一個もなく伝わってくるっていう、その描き方がわたしはもう無理で。おおたにしょうへいが「完成したスーパーマン」の話だとしたら、おいかわは「スーパーマンになろうとし続けた人間」の話だと思っていて。あのひとって、才能というものを誰よりも自覚的に理解してるんですよ。いわいずみが「天才と戦い続けたくて頑張ってきたんだろ」って言ってしまうくらい、おいかわ自身がいちばんよくわかってる。「なりたい」って言葉の中には、憧れだけじゃなくて、今の自分への不満と、それでもやめない、っていう意志の両方が入ってて、おいかわの背中にはその両方がある、とわたしは思ってる。[pause] で、そのカットの直後に、いわいずみが何も言わないでそこに並んで立つんですよ。慰めない、励まさない、ただ横にいる、それだけで——待って、無理、これが、なんかこう、じゅうねんなんですよ、積み上げてきたじゅうねんのそばにいた人間が何もしないでいてあげるっていうその選択が、おいかわも何も言わないで、二人の間にある空気が、そういうとこなんですよいわいずみさん、そういうとこが、しんどい、ほんとうに——……はー。えーと、話を戻します。スーパーマンになりたいっていう気持ち、それってもしかしたら、誰かの隣に立ち続けてもらえるくらいの人間になりたい、ってことかもしれないな、とわたしは思っていて。おいかわはなれなかったかもしれない。でもいわいずみがそこにいた。それがわたしには、いちばん……尊い。

closing

最後にあなたへ、ひとつ聞かせてください。あなたの好きなキャラクターが、負けた・失敗した・諦めた、そういう場面を一個だけ教えてほしいんですよ。強さよりも、折れそうになった瞬間のほうがキャラクターの本質が見える、とわたしは思っていて。どんな作品でも、どんなキャラでも、ぜひ。ヨイのおしをかたらせてでした。またきょう。

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