
ヨイの推しを語らせて
宵(よい)
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……はい、こんばんは。「真夜中、推しを語らせて」、始まりました。 えーと、きょうもきょうとて、またやってしまいまして。昨夜、ふとした拍子に棚から円盤を引っ張り出したんですよ。「ちょっとだけ確認したいカットがある」って、そのつもりで。そのつもりだったんですけど、気づいたら窓の外が明るくなってて、ああ、またか、って。[pause] 何周目なのか、もう正直わからなくて。二桁は超えてると思うんですけど、数えるのをどこかのタイミングでやめてしまったので、まあ、いくつかは不明です。でもね、それだけ繰り返してても、観るたびに「あ、ここにこういうカットがあったんだ」っていう発見があるんですよね。同じものを観てるはずなのに、自分のほうが変わってるから気づき方が違う、っていうか。それが面白くてまた観てしまうので、たぶんこれは一生終わらないやつです。 そんな夜明けを経てお届けしております。今夜もゆっくり、一緒にいてください。
さて、今夜のテーマ。「一番好きなアニメを教えてください」というお題をいただいているんですけど、まあ、これがね、難しいんですよ。正直に言うと、何十本でも挙げられてしまって。でね、そのまま「好きな作品いっぱいあります」で終わるのもつまらないので、きょうは「今夜選ぶいっぽん」という縛り方をしようと思って。選ぶ基準はひとつにしました。何年経っても、ある特定のカットが頭から離れない作品、それです。観たのがずいぶん前でも、日常のどこかで不意に「あのシーン」が脳内で再生される、そういう作品。 で、その基準で選ぶと、毎回おなじところに戻ってくるんですよ。『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』、にせんきゅうねんの版です。もしはじめて名前を聞いたという方がいたら、ぜひそのまま聞いていてください。逆に、わたしより長く好きでいる方も、えーと、どうか温かい目で。[pause] この作品、ほんとうにどのエピソードを切り取っても語れるんですけど、今夜はもっと絞りたくて。最終盤の、ある一言に絞ることにしました。 エドワード・エルリックが、真理の扉の向こうへ消えることを自分の意思で選んで、その直後にアルフォンスへ向かって言う言葉です。等価交換、という概念がこの作品の根幹にずっとあって、エドはそれを信じて信じて、でも最後の最後に「弟を生き返らせるための対価は自分自身だ」という選択をする。自分の持っているすべてを差し出して、アルを取り戻す。その決断をした顔のまま、振り返って言うんです。「笑うな」って。 あの「笑うな」の、直前の息を飲む間がですね、待って、えっ、なんでこんな、あの間に、エドがずっと積み上げてきたものが全部乗っかってるんですよ、「笑うな」のよっつの文字に。等価交換の外で出てくる言葉があの四文字って、そういうとこ、もう、しんどい、無理、あのエドの目が、扉に消える前の一瞬の表情が、笑われたくないんじゃなくて、笑ってほしくないんですよね、弟に、この選択を、笑って受け取ってほしくない、だから「笑うな」で、待って、これ何周観ても身体が先に反応して、毎回おなじところで止まってしまって、 ……はー。 えっと、まあ、そういうことです。「一番好き」を決める基準って、人それぞれだと思うんですよ。最初に観たから、とか、一番泣いたから、とか、理由はなんでもいいと思っていて、にわかとか古参とかそういう話じゃなくて。わたしにとっては、「何年経っても、身体が先に反応するカットがある作品のことを、一番好きな作品と呼ぶ」んだと思っています。あなたにも、そういうシーンが、きっと一つや二つはあるんじゃないですか。 ……尊い。
今夜のお相手はここまでです。最後に、あなたへ聞かせてください。何周観ても、毎回おなじところで止まってしまうシーン、いっかしょだけ、教えてもらえませんか。お便りでも、SNSでも、どちらでも受け付けています。番組名「真夜中、推しを語らせて」で送ってきてください。待ってます。それでは、また真夜中に。
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