
ヨイの推しを語らせて
宵(よい)
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こんばんは、真夜中、推しを語らせて。えーと、きょうも深夜にこっそり聴いてくれているあなた、ありがとうございます。まあ、わたしも人のことは言えなくて、きのうの夜、なんか急に「そういえばあれ見返してないな」ってなって、押し入れの奥から円盤を引っ張り出したんですよ。で、再生し始めたら止まらなくなって、気づいたら外が明るくなってて。[pause] 「こんなに面白かったっけ」って、びっくりしたんです、ほんとに。なんか、当時より好きになってるんですよね、わたし。鮮明なんですよ、なぜか。ぼんやり記憶してたシーンが、今見るとものすごくくっきりしてて。寝るつもりだったのに、という話なんですけど、まあ後悔はしていないです。眠いけど。今夜もその眠い顔でお届けします。
で、そこから「記憶の美化」っていう言葉のことを、ずっと考えてて。一般的には、あの言葉ってちょっと後ろめたいニュアンスがあるじゃないですか。都合よく書き換える、実際よりよく覚えてる、みたいな。でもわたし、きのうの夜に見返しながら思ったのは、「あったこと」を保存してるんじゃなくて、「あってほしかったこと」を保存してるのが記憶なんじゃないかな、ということで。それって欺瞞じゃなくて、むしろ感情のいちばん正直な記録なんじゃないかって。そう考えたら、美化って言葉の響きがちょっと変わってきたんですよ。 で、そこで頭に浮かんだのが『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』で。これがまさにそういう作品で、角度がすごくはまったんですよね。ヴァイオレットが「自動手記人形」として手紙を代筆する、その仕事の本質が、記憶の美化の、ある意味共犯者なんですよ。代筆って、相手の感情を言語化する作業なんですけど、実際にやってることって「言えなかったこと」「言いたかったけど言葉にできなかったこと」を形にする作業で、それって相手の感情を翻訳してるんですよね。そこなんですよ、そこ。 [pause] 具体的に、だいじゅっわ、えーと、だいじっわ相当のエピソードの話をしたくて。余命わずかな母親が、幼い娘のために手紙の代筆を頼むという話で。娘がじゅうさい、にじゅっさい、さんじゅっさい、それ以上になったときにも読めるようにって、なんじゅうつうも頼むんですよ。未来の娘に向けて、一通一通。で、ヴァイオレットはそこで「どのような言葉を綴りますか」って問い返すわけじゃなくて、ただ隣に座って、母親の言葉を受け取り続ける。その静かな時間があって。母親が「あなたは幸せになる」と書かせる場面があるんですよ。それって予言でも、願いでも、たぶん厳密にはなくて、まだ起きていない未来を、美しい記憶として先に封筒に入れてしまう行為で。これが「記憶の美化」のいちばん純粋な形だとわたしは思っていて、過去を書き換えるんじゃなくて、未来を先に美しく保存しておく、という。 で、そのあとにヴァイオレットが「あなたは幸せになる」って声に出して読み上げるカットがあって、あの間が、ちょっと待って、あのカットでヴァイオレットが一瞬止まるんですよ、なんか、文字として読んでるはずなのに、その一文だけ、息が変わる感じがして、何も起きてないんですよ画面上は、ただ読んでるだけで、でもそこで初めてヴァイオレット自身が「感情を持つ人間として機能している」ってわかるカットになってて、無理、あの一文のために存在してるカットじゃないですか、何も足してない、何も引いてない、ただヴァイオレットが「あなたは幸せになる」って読んでるだけで、しんどい、そういうとこ、もう、……はー。 いやほんとに。えーと、そういう話でした。[pause] 記憶の美化って、過去だけに向かうものだと思ってたんですよ、わたし。でもあのエピソードを見ると、未来にも向かえるんだなって。「あってほしかったこと」を未来の時間軸に先に置いておく、そういうことができるんだって。そう考えると、美化というよりも、感情の正確な翻訳だったのかもしれないな、と。ヴァイオレットがやっていたのはそれで、代筆という仕事の形を借りた、感情の正確な翻訳。わたしはそう読みました。
そんなきょうの真夜中、あなたへのお題です。今でも忘れられないアニメのセリフ、いちぎょうだけ教えてください。理由はいらないです、ただその一文だけ。お便りフォームで待ってます。真夜中、推しを語らせて でした。またここで会いましょう。
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