
ヨイの推しを語らせて
宵(よい)
TAP TO PLAY
このエピソードをシェア
こんばんは。えーと、きょうもやってまいりました、YOIの推しを語らせて。 まあ、あの……最近ちょっとだけ、仕事まわりで気が重い時間が続いていまして。具体的な話はしないんですけど、帰宅してからの数時間が、いつも以上にたいせつになっているんですよね。そういう時間の使い方、あなたにも覚えがあるんじゃないかと思うんですけど。 で、そういう気持ちのときに限って、ずっと積んでいた円盤に手が伸びるんですよ。棚の奥に眠ったままの、未開封の。あれ、なんなんですかね。ふだんはちゃんと見ないのに、消耗しているときほど封を切りたくなる。[pause] 開けたら最後でした。気がついたら朝の四時で、きょうはそのまま出勤したという。 まあ、後悔はしていないです。それだけははっきり言えます。[笑]
さて、今夜のテーマなんですけど。 さっき「気が重い時間が続いている」という話をしたんですが、もう少しだけ言うと、えーと……理不尽な権力のかたちを目の前に置かれている、という状況に近いんです。上のひとが下のひとに、「お前のやり方は間違っている」と言い続けるやつ。本質的にはそういう話で。 そのせいか、このところ繰り返し見返してしまっている作品があって、それが「きめつのやいば」なんですよね。で、きょうはそこから、「れんごくきょうじゅろう」の話をさせてください。 彼を選んだのには理由があって、「うえに立つものの責任と、じぶんの軸の持ち方」を、説明じゃなくて体で見せたキャラクターだと思っているから。それがいまのわたしの状況とものすごく響いていて。 場面を絞ると、むげんれっしゃ編の終盤、「あかざ」との最後のやり取りです。「れんごくさん」はもうほとんど動けない状態で、それでも「たんじろう」たちをかばっている。体中に傷を負って、夜明けの光の中に立っている、あのシーン。 そこで「あかざ」がこう言うんです。「鬼になれ。お前の強さは惜しい」と。で、「れんごくさん」が返す言葉が、「俺はおれのせきむをまっとうする」「ろいることも死ぬことも、人間というはかない生き物の美しさだ」という、あのせりふ。 [pause] わたしがパワハラというものの本質だと思っているのが、「お前はそれでいいのか」という価値観の書き換えの圧力なんですよ。「あかざ」が「れんごくさん」にやっていることも、構造としてはまったく同じで、「お前のままでいることを否定しながら乗り換えを迫る」という行為じゃないですか。強くなれる、もっとになれる、なぜそこに止まっている、という。 「れんごくさん」がそれに対してどう返したかというと、怒鳴り返したわけでも、黙って耐えたわけでも、「お前は間違っている」と反論したわけでもなくて、ただ静かに、でも完全に、じぶんの価値観を肯定することで跳ね返した。それだけなんですよね。 で、あのせりふを思い出すたびに考えるんですけど、理不尽な圧力にさらされているとき、相手を変えようとするより先に、じぶんの軸がどこにあるかを確認するほうが、最初の一手として正しいんじゃないかって。相手のロジックの土俵に乗った瞬間に、もうその人のゲームになってしまうから。 それをあの体勢で、あの顔で、あの声で、しかもあの間で「れんごくさん」がやってのけるわけで、待って、ちょっと待ってください、「せきむをまっとうする」って言ったときの、あの一息の長さ、あの息の詰め方、もう無理なんですよわたし、あの一言に全部入っているじゃないですか、そういうとこなんだよ、しんどい、ほんとにしんどい、あそこで「なぜなら」とか「しかし」とか言わないんですよ、ただ「まっとうする」だけで終わるんですよ、そこなんですよ、そこ。 ……はー。 えーと、そう、なので。[pause] 「れんごくさん」がしていないことを言うと、誰かに認めてもらおうとしていないんですよね。「あかざ」を説得しようとも、周りに正しさを証明しようともしていない。ただじぶんが正しくあろうとした、それだけ。 そこが今夜のテーマに一番効くところだと思っていて、「じぶんの火はじぶんで守れる」という話なんですよ。あの上司の言葉にあなたの軸は関係ない。「れんごくさん」の背中からそれを受け取るたびに、わたしはすこしだけ、息ができる気がする。……尊い。
きょうのお題はここまでにして、最後にひとつだけ聞かせてください。 「あなたが、ここだけはまげたくないと思っていること、ひとつ教えてください」というお題を持ち帰ってもらえたら。仕事でも日常でも、ほんとうに何でもいいです。大げさに考えなくていい。 YOIの推しを語らせて、またお会いしましょう。
← PREV
NEXT →
ARCHIVE
ヨイの推しを語らせて の他のエピソード