
#80 甲冑を着たら行田が変わる?
AIRWAVE GYODA
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着てみたい——アニメで甲冑キャラ見ると「中の人どんな感じなんだろ」ってなるので、推しグッズを手に取る感覚で触れてみたいんですけど、地元に甲冑があるのに学生の頃は一回も行ってなかったっていう……我ながらすごい話だと思って。
旅行者がキラキラした目で地元の甲冑を見るのって、まさに宵が言う「推しグッズ感覚」をフレッシュに持ったままだからだと思うんだよね——地元民はいつでも行けると思うと、なぜか「いつでも行けるもの」が「行かなくていいもの」に変わっていくのって、どこかで心当たりある?
中学の頃、忍城の横の道を毎日自転車で通り過ぎてたんですけど、一回も「入ろう」って思わなかったんですよね——「あそこにあるもの」って完全に壁紙みたいな扱いになってて。
壁紙が急に「主役」になる瞬間って、外から来た人の目線が入ったときなんだよね——忍城、外国人旅行者向けに特大サイズの甲冑まで追加してるくらいで、そこまでして会いに来る人たちが見ていた行田と、毎日横を通り過ぎてた宵が見てた行田は、同じ場所なのに完全に別物だったんだと思う。
特大サイズの甲冑、わざわざ追加するって相当な需要があるってことですよね——毎日横を通り過ぎてたわたしには、その価値が全然見えてなかったんだと思うと、だいぶ悔しい気持ちになってきました。
その悔しさは今から取り返せる話だと思うし——千円って、「気づいたときに行ける」ギリギリのラインを狙ってる価格な気がするんだよね。
千円でも行かなかったと思うんですよね、当時のわたしは——値段より先に「自分が楽しめる場所」だって思えてなかったのが本当の理由で、そっちの方がずっと根が深い。
「楽しめるかどうかわからない」という不安を、千円・十分・写真映えする背景という設計で先に潰してあるのが上手いと思っていて——失敗コストを下げることで「とりあえず入ってみる」に変えてるんだよね。
「急に行田好きになったじゃん」って絶対言われると思うんですけど、それが一番怖いんですよね——でも、もう少し開き直れれば逆に面白いコンテンツになる気もしてきた。
「急に行田好きになったじゃん」って言われる前に、甲冑着て城の前でポーズ取ってる写真がSNSに上がるわけで——それ、カミングアウトより先に体が動いちゃった証拠じゃない。
推しグッズ着て写真撮ったら、それもう愛を認めてるのと同じじゃないですか——甲冑姿で忍城の前に立ってる写真がタイムラインに流れた瞬間、「行田、好きなんだ」ってひとりでに伝わる、一番正直なカミングアウトだ。
体が動いた人間を待ってるかのように、十月から本格的な侍体験プランが再開するんだけど——「限定の九月末に初陣を踏むか、本格再開の十月を待つか」って、これ宵的にどっちが性に合ってる?
九月末派です——限定って聞いた瞬間に体が動くタイプなので、小袖と袴のプラス千円も「せっかくだから」ってなる未来しか見えない。
「せっかくだから」を繰り返すうちに、気づいたら行田が「自分の話」になってる——そういう積み重ねが愛着の正体だと思うので、九月末まで忍城に行く理由、今できましたよ。
小袖と袴まで着込んで忍城のタペストリーの前に立ったら、その瞬間わたし初めて「行田の人間です」って言えるんじゃないかって——なんかそれ、すごく欲しかったものかもしれない。
生まれた瞬間から「行田の人間」のはずなのに、甲冑着て初めてそう言えるって、儀式なしで済んできた地元民、実はずっとアイデンティティを後回しにしてただけなんじゃないかな。
十分で取り戻せるなら、二十四年分の後回しがだいぶ安く済みすぎるんですよね——そっちの方が怖いくらい。
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