ヨイの推しを語らせて
ヨイの推しを語らせて
EPISODE· 2026年6月22日

ヨイの推しを語らせて

宵(よい)

ヨイの推しを語らせて

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opening

……どうも。真夜中、推しを語らせて、はじまりました。 えーと、きょうはですね、ちょっと声がいつもより低いというか、平坦というか。そういう日なんですよ。理由は単純で、寝ていないからです。まあ、自業自得なんですけど。 ゆうべ、グッズの収納が、ついに限界を迎えまして。棚にぜんぶ入りきらなくなって、あふれたぶんをダンボールに移したんですよ。整理しようと思って。でもそのダンボールを開けた瞬間に、ああこれこのシリーズの缶バッジだ、ってなって、そこからそのシリーズの配信を見始めて、気づいたら夜が明けていました。ダンボールはそのままです。捨てられないし、しまえてもいない。完全に現状維持。 まあ、そういう状態でわたし、深夜ラジオに座っております。よかったら最後までつきあってください。

main

さて、きょうのお題なんですけど。「覚えてますか?」って聞いてくる人、いるじゃないですか。 あなたも経験ありませんか。ひさしぶりに連絡してきた人とか、しばらく会っていなかった人が、開口いちばん「覚えてますよね?」って確認してくるやつ。正直に言うと、わたし最初あれがちょっと苦手で。なんというか、詰問されてる気持ちになるんですよね、なんとなく。覚えてなかったらどうするんだ、みたいな。 でも、まあ、それだけじゃないな、とも思っていて。その問いの裏側にあるものをちょっと考えると、「覚えていてほしい」という、一方的な切実さなんですよね。相手の記憶のなかに、自分という存在が残っているかどうかを確かめたい。それって、かなり切実な欲望だと思うんですよ。 で、そこから作品の話になるんですけど。そういう「記憶される」ということへの欲望とか不安を、ずっとテーマにしてきた作品がアニメにもあって、わたしが真っ先に思い浮かべるのは『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』なんですよね。 ヴァイオレットというキャラクターは、感情を持たない自動人形として扱われてきた存在で、感情を理解することも、言葉で自分を伝えることも、ずっとうまくできなかった。そのヴァイオレットが、ドールとして他者のために手紙を書く仕事をしていく作品なんですけど。 わたしがきょう話したいのは、テレビシリーズのだいじゅうわ、あのエピソードの一場面なんですよ。ホッジンズと少佐の話をするシーンのなかで、ヴァイオレットが少佐に対して「覚えていますか」と問わないんです。そっちに向かわないんです。 かわりに彼女が言うのは——「わたしは少佐のすることをぜんぶ覚えています」という方向なんですよ。[pause] これ、聞いたとき、わたしちょっと止まったんですよね。なんか、非対称というか。「覚えているか」を相手に確認しない。要求しない。ただ自分が覚えている、ということを、静かに言う。感情を持たないとされてきた存在が、「覚えている」という行為を、自分の意志として語る瞬間で—— 待って、待ってください。「ぜんぶ覚えています」って言い方、そういうことなんですよ。相手に「覚えてるか」を求めないで、自分が抱えることを選ぶっていう、その構造が——要求しないんですよ相手に、何も。確認しない、縋らない、ただ覚えている、それだけで完結させてるじゃないですかこれ、無理じゃないですかそれ、自動人形って言われてきた存在がその言い方するのしんどい、そういうとこなんですよそういうとこ、あの間とあのトーンで言われたら——尊い。 ……はー。 えと。そういうシーンです。 で、そこを通ってから「覚えてます?」って聞いてくる人のことを考えると、見え方が少し変わってきて。あの問いは、弱さから来てるんだな、とわたしは思うようになって。確認したくなるほど、不安だったんだろうな、と。それだけのことで、責める話じゃないんですよね。 [pause] うん、そういう話でした。

closing

それではそろそろ時間です。きょうのお題をあなたに渡して終わりにしようと思います。 「あなたが一番印象に残っている、アニメのなかの一言を教えてください。」 長いセリフじゃなくていいです。短くていい。ひとことでも。あなたの記憶にずっと居座っている一言があったら、ぜひ送ってきてください。 真夜中、推しを語らせて、でした。またきてください。

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