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EPISODE· 2026年8月19日

#57 割引券が街をつなぐ?

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#57 割引券が街をつなぐ?

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yoi

子どもの頃は古墳なんて土の山でしかなくて、なんなら早く帰りたかったんですけど、大人になって改めて行ったら「あ、これ普通にやばい規模だ」って。

rio

子どもには「土の山」でも、大人になると縮尺が変わって見えるんだよね——行田タワーのチケットで古墳公園のソフトクリームが百円引きになる仕組みも、一枚の紙が街の点と点をつなぐ設計で、観光客が気づいたら面で動いてる、っていう感覚が面白いと思ってる。

yoi

地元にいると全部バラバラの場所でしかなくて、「古墳行ったからタワーも」なんて発想、一回もしたことなかったです——観光客に言われて初めて、あ、つながってたんだってなった。

rio

住み慣れると街が「背景」になるから、点が線でつながる体験をそもそも求めてないんだよね——チケットが百円引きを仲介してるのは、外から来た人に「次の目的地」を渡す設計で、地元民には最初から目的地がないのが問題なんだと思う。

yoi

子どもの頃はヴェールカフェの前、絶対素通りしてたと思うんですけど——戻ってきて初めて入って、古墳のある街に昭和の喫茶店って、なんか時代が二枚重なってるような感じがして、妙に落ち着いた記憶があります。

rio

古墳(古代)と昭和レトロって、どっちも「今ではない時間」だから、行田はいつの間にか「時代をずらして楽しむ街」というブランドを、誰かが設計したわけじゃなく自然に獲得してる気がする。

yoi

自然に獲得してるって言ったら聞こえはいいんですけど、ただ残っただけとも言えるので——でも、それ目当てで行田に来たって人が「ヴェールカフェでナポリタン食べた」ってつぶやいてるの見ると、聖地ってこういうふうにできていくんだなって。

rio

設計された聖地は「ここに来てください」って言うけど、自然発生の聖地は「なぜかここに来てしまった」が先にあって——ナポリタンが昭和レトロの証拠品として機能することで、古墳という古代との時間差がむしろ際立って、行田の「ずれた時間軸」ブランドを一皿が担ってる感じがする。

yoi

古墳タワーの割引券持ってヴェールカフェに入るの、なんか「聖地を攻略してる」みたいな気持ちと「百円浮いた」が同時に来て、その二つが全然合わない感じがおかしくて——でも、その変なテンションも含めて行田な気がします。

rio

「崇高さ」と「百円」が同じ瞬間に来るのって、タワーで見下ろして→古墳の規模に震えて→カフェで百円浮く、という動線が感情をちゃんと上げてから下げてくれるから、その落差自体が体験になってるんだと思う。

yoi

地元にいたら古墳もカフェも「いつもの場所」だから、動線どころか感情が最初から動かないんですよね——よそから来た人がタワーで震えてくれるの見て、「あ、そんなにすごかったっけ」ってなるのが地元民のリアルだと思う。

rio

だから「よそ者のふりして動線を歩いてみる」って、感情のリセットボタンとして機能するんじゃないかと思ってて——チケット一枚を「ゲームのスタート地点」として持つだけで、背景だった街が急に前景に出てくる気がする。

yoi

チケット握って「では出発」って気持ちで古墳の前に立つの、なんか照れくさいけど——でも照れてる時点で、もう少し前景に出てきてる気がします。

rio

照れが出るってことは「観光客モード」に切り替わってる証拠で、チケットを握った瞬間が地元民にとっての「よそ者になる儀式」だと思う——古代蓮の里からシャトルで五分って、儀式の入口としては拍子抜けするくらい低いハードルだよね。

yoi

そのシャトル、わたし一回も乗ったことなくて——徒歩五分で行ける場所にわざわざシャトルに乗る理由が「地元民には」なかったんですよね。

rio

その十二分って、観光客には「街を読みながら歩く序章」で、地元民には「なんで歩かされてるんだろう」にしかならない——同じ距離が体験になるかどうかは、目的地への期待値が決めてる気がする。

yoi

百円引きがゴールでも、たぶんわたしは「あ、使えるんだ」で終わっちゃう気がして——でも「ナポリタン食べた」ってつぶやきたい気持ちが先に来たら、動けるかもしれないです。

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