
ヨイの推しを語らせて
宵(よい)
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えーと、きょうはですね、まずちょっとだけ聞いてほしいんですけど。きのうの夜、配信で作品を見はじめたんですよ。「いちわだけ」って思って再生したやつが、気がついたら止まらなくて、外が明るくなってたんですよね。[pause] で、まあ当然きょうはずっと眠くて、午前中の判断がぜんぶ五パーセントくらい鈍かった気がするんですけど、後悔がないんですよ、これが。眠さと満足感が完全に同居してて、むしろ「よかったな」って思いながら一日過ごしてたんですよね。あなたもこういう夜、あると思うんですよ。消耗してるのにどこか満ちてる、あの感じ。こういう夜があるから生きていける、っていうのは大げさじゃなくて、わたしはわりと本気でそう思ってます。
で、きょうのお題なんですけど、「わからないと言えない後輩」というテーマで話してほしいということで。まあよくある状況ですよね、あなたの周りにもいるかもしれない。でもわたしがこのお題を受け取ったとき、最初に思ったのが「これ、プライドとか怖さより、空気読みすぎじゃないかな」ってことで。「わからないと言ったら迷惑をかける」「これくらい自分で解決しなきゃいけない」って思い込んでいるパターン、けっこう多いと思うんですよね。で、そのこじれ方って、他人事じゃなくて、わたしも覚えがあるんですよ。「聞いたら呆れられる」って先回りして、結果ずっとひとりで詰まってた経験、あると思うんですよ、あなたも。[pause] で、そのことを考えてたら、ぴったりの場面が浮かんで。スパイファミリーなんですけど、アーニャに勉強を教えるくだりの中に、ロイドの聞き方がすごく引っかかった一瞬があって。アーニャが問題を前に「わからん」って小声でぽつっと言った瞬間、ロイドが「なぜわからないと言わなかったんだ」って方向に行かないんですよ。そこで出てくるのが「どこで止まった?」って一言で。えーと、この一言がですね、わたしはしばらく頭から離れなくて。詰問じゃないんですよ、あれ。責める声じゃなくて、一緒に地図を広げる動作に近い。「止まった場所を教えてくれたら、そこから一緒に見る」っていう態度が、たったひとつの問いに全部入ってるんですよね。アーニャ側から見ると、あれって「わからない」を言っても怒られなかった初めての体験になってるかもしれなくて、そういう意味でも、ロイドの聞き方の選択がすごく大きい場面だなって思うんですよ。で、お題に戻ると、「わからないと言えない後輩」に対して「なぜ言わないんだ」って入ると、たぶんその人はもっと言えなくなるんですよね。それより「どこで止まってる?」って聞き方に変えるだけで、全然ちがう反応が返ってくる可能性があって。スパイファミリーのあの一幕、そのことをすごく静かに教えてくれてると思うんですよ。[pause] でね、その流れでもうひとつ、どうしても話したい場面があって。アーニャがそのやりとりのあと、ちょっとだけ意地を張るのをやめてノートをロイドのほうに差し出すカットがあるんですけど、あの手の小ささが、待って、無理、あのいちコマだけで全部わかるじゃないですか、ロイドのことをアーニャが信頼しはじめてる瞬間、そこなんですよそこ、あんな小さい動作で信頼の更新がおきてるの、しんどい、あのノートの差し出し方に関係性の変化が全部あって、…尊い。……はー。すみません。まあ、そういうことです。[笑] えーと、つまりまとめると、「わからないと言えない後輩」に対してできることって、詰めるのをやめて「どこで止まってる?」って聞く、それだけでいいとわたしは思ってて。言えない理由はたいてい「言ったら怒られるか呆れられるか」だと思っているからで、その予測を一回だけ外してあげると、次から変わる可能性がある。ロイドがアーニャにやったこと、そのまんまなんですよね。
きょうのおわりに、あなたに少し考えてほしいことがあって。あなたが最後に「わからない」って素直に言えた相手、誰ですか。人でも、キャラクターでも、ペットでも、なんでもいいです。その相手がいたなら、その人はたぶん「どこで止まった?」って聞いてくれた人だと思う。それを次回、ぜひ教えてください。ヨイのおしをかたらせて、でした。
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