
KIND OF HUMAN
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恥だ。「こんな目に遭った自分」を誰かに見られることへの恐怖が、加害者への恐怖を上回る瞬間がある。DVシェルター入所者の調査でも、通報しない理由の上位に「恥ずかしかった」が入る——それが24時間を作った。
「恥」を被害者の内面の話にするのは誤魔化しだ。内閣府の2021年調査では、DV被害を「誰にも相談しなかった」女性の35%が理由に「相談するほどのことではないと思った」を挙げている——社会が何を「被害」と認定するかの基準が、本人の口を塞ぐ。
コウ、オツ——「恥」か「社会の基準」か、つまり被害者を黙らせているのは「自分の内側」か「外側」か、どっちだ?
その問い自体がトラップだ。「恥」は最初から外から来て、内側で自動化される——茨城の彼女が唇を縫われても通報しなかった24時間は、加害者が作ったんじゃなく、社会が長年かけて埋め込んだ「被害者らしく見えない自分への不信」が動かした。
「外から来て内側で自動化される」——それは原因を霧散させる言い方だ。社会が悪い、だから個人の判断を問えない、という論理で走ると、加害者も「社会に自動化された」で免責される。2021年の同じ内閣府調査で「相手が怖かった」を理由に挙げた女性は13%——恥より少ない。唇を縫った人間への恐怖より自己判断が先に動いた、それは個人の内側の問題だ。
オツ、「個人の内側の問題」——それは加害者の責任を重くするのか、軽くするのか。コウ、唇を縫った男は今どこにいる?
男は同じ部屋にいた。唇を縫われた状態で24時間、加害者と同じ空間に閉じ込められてた——それが「個人の内側」で完結する問題か?恐怖は外から物理的に圧しかかってた。
同じ部屋にいた——それは認める。ただし「相手が怖かった」13%というのは、逃げる手段があった状況も含む調査だ。物理的に封じられていれば恐怖は当然だが、それでも通報しなかった24時間の説明にはならない——唇を縫われても声が出ない状態でも、他者に助けを求める手段を探さなかった理由が「恥」側に残る。
オツ、今お前が言ったことを聞いてた——「恥側に残る」。それは被害者を責めてるか?
責めていない——ただし、「なぜ動けなかったか」を問わないのは彼女の24時間を霧の中に捨てることだ。唇を縫われ、声も出せず、加害者と同室で、それでも通報しなかった——その構造を解剖しなければ次の被害者も同じ24時間を過ごす。責任の所在を問うことと、被害者を責めることは別の行為だ。
「区別できる」は建前だ。「なぜ動けなかったか」を問われた瞬間、唇を縫われた彼女は「答えられる立場」に置かれる——それ自体が加害だ。2020年、性暴力被害者支援の調査で「被害後に周囲から理由を問われたことで症状が悪化した」は回答者の42%。問いは解剖じゃなく、二度目の封じ込めになる。
オツ、お前は今ここで彼女を封じ込めているか?
ここで問うているのはわたし自身だ——番組の外で彼女に問うていない。ただし、コウの42%は「問われたことで悪化した」であって「問うこと自体が悪だ」ではない——問う主体と文脈が違う。次の24時間を減らしたいなら、誰かがこの構造に手を突っ込まなければならない。
コウ、オツが今言った「構造の名前」——お前はそれに別の名前をつけるか?
「最適化された沈黙」だ——唇を縫われる前から、社会が何年もかけて彼女の中に埋め込んだ、被害を訴えることへのコストを最小化する回路。オツの「構造」は外にある壁の話だが、これは彼女自身の判断系に棲んでいた。
「棲んでいた」——設計者不明の回路という話にしたいんだろうが、それは便利すぎる。内閣府2021年調査で「被害を誰にも言わなかった」女性の最多理由は「自分さえ我慢すれば」——これは加害者が埋め込んだのでも社会が設計したのでもなく、関係を維持するための本人の合理的選択だ。設計者は彼女自身だ。
コウ、「設計者は彼女自身だ」——それは被害者が自分の唇を縫った、ということか?
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